夜勤を終えて外に出る。
朝の光はまだ弱く、空気の温度だけがゆっくり変わっていく。
体の奥に残る疲れが、静かにほどける気配がある。
小さな店へ向かう。
暖簾が、ほとんど動かない風にわずかに揺れる。
その揺れが、夜から朝への境目をそっと示している。
店に入ると、温度がふわりと変わる。
湯気が静かに広がり、体の内側に淡く触れる。
席に座ると、意識がゆっくりと朝へ戻っていく。
音はほとんどなく、湯の気配だけが漂う。
目の前に置かれた一杯から、薄い温度が立ちのぼる。
それをすするたび、体が静かに温まる。
味を語るほどの余裕はない。
ただ、温度が体に届いていく。
食べ終えるころ、外の光は少し強くなっている。
街がゆっくり動き始める気配がある。
夜勤明けのラーメンは、ただの食事ではなく、
静かに“朝へ戻るための橋”になっている。
今日もまた、その一杯がそっと整えてくれる。



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